金曜日, 12月 09, 2016

二歳児保育の「一緒に心を動かす」を支えるもの (山地一輝)


 失礼します。教育学部人間発達環境課程人間環境教育コース4年の山地一輝です。今回は保育内容の指導法(人間関係)の授業時に『「自然とともに展開した二歳児保育-絵本の世界を楽しみながら「自然」とつながろう』という事例(愛知:いりなか保育園ぞう組の保育実践 松本博雄 2013 『二歳児保育の「一緒に心を動かす」を支えるもの』 現代と保育85106-123)をとりあげ、みんなで討論し合い考えたことについて書きたいと思います。


 この事例に登場する保育者は、担当する二歳児クラスの子どもたちの遊びを豊かにすると同時に、自然への関心を育て、より楽しく遊ぶにはどのような実践が必要かを考えました。そこで、保育者は一歳児クラスの後半から子どもたちが大好きなおばけに注目しました。そして、保育者はおばけの登場する絵本を室内に用意したり、読み聞かせをしたりしました。それをきかっけにして、子どもたちはその絵本の世界のイメージを友達同士で共有し合い、様々な遊びや活動の中でおばけになりきって楽しむ姿を見せました。そして、子どもたちは絵本の中に出てくるおばけのおうちやおばけの好物であるクモの巣のイメージを身の回りにある自然に重ね合わせて、以前にも増して自然に対してワクワクした楽しい気持ちで目を向けるようになっていきました。


 この事例を読み、みんなで討論し合った中で私が考えたことは、二歳児の時期におけるごっこ遊びは他の年齢と比べると、遊びの発想が自由で、一つの遊びにみんなが自由に参加することができるのかなと考えました。この時期の子どもは三歳児以降に比べると、こだわりがあまり強くなく視覚的な影響が強いのではないか、という意見が出ました。だからこそ、事例中の子どもたちのように絵本のイメージをそのまま他の友達と共有することができ、そのイメージを保持したまま様々な自然にかかわることができたのかなと考えました。さらに、二歳児の時期は「そのものになりきれる」力も大きいと考えました。事例中の子どもたちのような本物のおばけになりきり遊びこむ姿にみられるように、自分がおばけになっているからこそ、よりリアルな絵本の世界を再現したくなって遊びが深化するのかなと考えました。


 この事例から、私は二歳児の子どもたちにとって、現実の世界と空想の世界の両方を充実させてあげることはとても重要なことだと感じました。上記の事例のようなこの時期特有の子どもの心性を大人が理解し認めることで、子どもの豊かな感性や関心をはぐくむ支援を心がけていきたいです。その際、まだまだ自分の力で友達と折り合いをつけることは難しい姿も見られると思います。大人が子ども同士、子どもと環境との橋掛けとなる支援を行うこともまた重要であると感じました。楽しそうなものに無意識に心と体がそれに向かい空想の世界に飛び込める、そんなかけがえのない二歳児の魅力を今回の事例から考えることができました。


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