月曜日, 11月 21, 2016

一歳児なりの主体性を考えて(山田晴子)


失礼します。幼児教育コース3年山田晴子です。今回は、保育内容の指導法(人間関係)の授業で『一歳児なりの主体性を考えて』という事例(山形市:とちの実保育園1歳児クラスの保育実践 松本博雄 2012 一歳児の「自分で思って、自分で決める」をどう育むか 現代と保育, 84, 122-139. より)を読み、考えたことについて書いていきたいと思います。


この事例では、〇歳児クラスからそのまま持ち上がった一歳児クラスに進級した際、保育者は一歳児クラスなりの主体性を考えるとき、自分の思いをしっかり持って人に伝えられる子どもになってほしい、そして、受け止めてもらったり、葛藤したりしながら自分で決めすすんでいける子どもになってほしいという願いをもって保育を行っていました。

そこで、〇歳の時から主張が弱く、いつも受け身になりがちなまさきくん(一歳十カ月)が給食の準備をする際に自分からまだ絵本を読みたいと主張する、その思いを保育者が受け止め、まさきくんが自分から絵本を閉じて給食を食べるようになるまで見守る、また、〇歳の時から思いが強く、ダダコネが多いりえちゃん(二歳二カ月)が、自分が以前エプロンを忘れた際に保育所から借りたエプロンを自分のものと思い、同じくエプロンを忘れたお友だちに渡すことにはじめは抵抗があったが、友達の気持ちを考え、どうするかを保育者がりえちゃんの気持ちに言及しながら、りえちゃん自身が考え、どうするかを決めるまで待つといった、それぞれの子どもが自分の思いを主張し、葛藤をしながら次の行動を自分で決めていく姿とそれを見守る保育者の様子が書かれていました。


 そして、今回の話し合いや振り返りで分かったことは、子どもたちが「自分で決める」ためには、保育者が子どもの思いを尊重し、受け止めることが大切であるということです。一歳児にはよく見られる「イヤイヤ期」、また「ダダコネ」は保育者にとって困ったこととして捉えられることが多いと考えられます。しかし、「イヤイヤ」や「ダダコネ」は子どもの発達上当たり前に起こることで、自己主張の始まりとも言えることです。子どもたちは、自分の思いを伝えてもいい人がいると感じなければ、気持ちのいい自己主張は出来ません。また、保育者の何気ない声かけにも、「待ってたよ」や、「自分でドウゾってできたの~?ステキだね~」というように、子どもたちの意思を尊重し、自分で決められたことを子どもと一緒に喜ぶ様子が感じられました。繰り返し何度もおとなに気持ちを伝え、受け止めてもらえたという経験を積むことで、安心して自分を表現することが出来るようになるのだろうと思います。


また、子どもたちの「イヤ」は、保育者を困らせたくて言っているわけではなく、本当はみんな気持ちよく主張したいと思っているはずです。「イヤ」に隠れた「シタイ」という気持ちを保育者がどれだけ子どもと一緒になって考えていけるかが重要になってくるのではないかと考えます。

 今回の授業を受けての感想で、ある学生の「全てを受け止めるのは難しい。でも、思いに共感することはいつでもできる。主張することをあきらめてしまう子どもにならないようにしたい。」というコメントが紹介されました。授業のなかでは一つの事例にじっくりと向き合い、考えることができても、実際に保育を行う際には、全てを受け入れることは難しく、私が実習に行ったときにも様々なことに追われ、全ての子どもたちの気持ちを受け止めることができたと自信を持って言うことは残念ながらできません。しかし、だからといってあきらめるのではなく、思いに共感することは私にも出来るのではないかと思いました。子どもたちが気持ちよく主張するためには、おとなが子どもの思いを受け止め、子どもとともに歩み、子どもの立場になって考えることが大切だと思い、これからの保育に活かしていきたいと思いました。

0 件のコメント:

コメントを投稿