日曜日, 11月 15, 2015

「元気な体」を支えるものは?(松本)

 観音寺市就学前教育検証改善委員会の研究保育があり、先日、観音寺市立大野原保育所まで出かけ、1歳児保育の実践を拝見しました。
 観音寺市のみなさんとは、一昨年度まで「観音寺子どもすくすくプラン」を、保育所、幼稚園、小学校の先生方、教育委員会や子育て支援課のみなさんと一緒に作成させていただいたというご縁があります。
 名前はかっちりしていますが、保育所、幼稚園、小学校のメンバーで集いながら作成したすくすくプランを活かしつつ、これまで同様に多様なメンバーで学び合いながら、就学前の子どもたちを対象とする保育の質の向上を目指そう、というのが会のミッションです。

 この日の遊びのテーマは「箱であそぼう」
 保育を見守るたくさんの大人を、はじめは不思議そうに見つめていた子どもたちでしたが、まずは自らが率先して楽しむ姿を見せてくれた先生方によって作り出された楽しい雰囲気によって、徐々に目の前の遊びにひきこまれていきます。
 大きな段ボール箱に穴を開けて作られたドアから「バアー」と顔を出すのが面白くて、子ども同士で繰り返したり、一緒に箱を押したり、並べたり、ジャンプしてみたり……。
 ときに参観者もそんなやりとりに巻き込まれての、楽しいひとときになりました。

 その後、参観のみなさんと、「保育者や友だちと一緒に『体を動かして遊ぶことが楽しい』と感じられるような環境構成や保育者のかかわり」について、保育をされた先生方も交えて話し合いました。
 「元気な体をつくる」ことを考えたとき、すぐに思い浮かぶのは「何をするか」
 言い換えれば、どうやって体を動かすかということかもしれません。
 とはいえ、「体づくり」は単発的な目新しい取り組みではなく、日々の積み重ねで初めて成り立つもの。そう考えると、何に取り組むかと同じくらい、もしくはそれ以上に大切になるのは、そうやって体を動かしたくなる子どもたちの思いが、日々のどんな場面や関係によって支えられていくかだと思います。
 心惹かれる相手として、大人に加え、友だちが登場する。
 シンプルで、子ども同士がつながりやすいやりとりのパターンがあれば、そんな「いっしょ」の時間がもっと楽しくなっていく。
 頭の中にイメージする力がめばえたことで、期待して自ら動き始めたこの時期だからこそ大切にしたい保育実践のポイントを、他年齢と共通する部分も踏まえながら、改めて確認することができました。

 大野原保育所のみなさん、観音寺市就学前教育検証改善委員会のみなさん、ありがとうございました。
 多様な仲間で継続するからこそ少しずつ見えていく取り組みの成果を、これからも楽しみにしたいと思います!

火曜日, 11月 10, 2015

子ども・子育て会議にて(松本)

昨年度に引き続き、坂出市子ども・子育て会議の会長を務めることになり、先日、本年度第1回の会議を終えてきました。
本年度の主なミッションは、昨年度に作成された「さかいで子ども・子育て支援プラン」の検証、ということになります。

さかいで子ども・子育て支援プランの核となる理念は、
「すべての子どもの幸せのために、子どもの健やかな育ちと子育てをささえるまち」

「すべての子ども」を考えるのは、とても難しい。
それは、今の自分にとって見えやすい立場をふまえつつも、それを越えて想像力を働かせ、言葉にしてみることが求められるからだと思います。
どの場面でも、それぞれの立場、ルーツを背負って考え、自分の立場から語ることはわりにたやすいけれど、だからこそ「すべて」に含まれる、自分には見えにくい立場に思いを寄せながら、みんなで考えていくプロセスが大事になっていくのでしょう。

委員のみなさんそれぞれの積極的な議論や、そこに込められた熱い思いを聞きながら、改めてそんなことを考えました。
これからも、みんなで力を合わせて、丁寧に考え、形にしていくプロセスを大事に取り組みたいと思います。

火曜日, 11月 03, 2015

ブックスタート活動のもつ魅力(松本)

先月中旬にインタビューされた記事が、朝日新聞(11/1香川版)に掲載されました。

http://digital.asahi.com/articles/ASHBW4SLXHBWPLXB01F.html

ブックスタート活動とは、乳児とその保護者に、絵本を通じて楽しい時間をすごすきっかけづくりをねらいとして絵本を手渡す活動として、1992年にイギリス・バーミンガムにて、大学・地域図書館・地域保健活動との協同で始まったものです。

ゼロ歳児の場合、年上の子どもたちのように、一般に絵本の内容自体を理解できるわけではありません。
では、何のために、乳児に「絵本」が必要なのか。
子どもから大人へと視点をシフトさせてみると、そのヒントが見えてきます。

たとえば乳児と向き合って、しばらくの間遊んだり、あやしたり……、という場面を想像してみましょう。
そこに積木や人形、車はあるけれど……。はて、これでどうやって遊ぼうか?

あ、絵本があった。それならば……。

親だからといって、子どもと遊ぶことが得意とは限りません。
子どもと遊ぶのが得意な人もいれば、そうではない人もいます。
でも、絵本ならば、文字さえ読めれば、子どもとともに時を過ごすことができる。
そういった意味で、絵や文字がある絵本は、一般的なおもちゃに比べ、全ての大人に対し、子どもと楽しく関わるきっかけを、わかりやすく提供できる、いわばユニバーサルな媒体といえるでしょう。
このことは、ブックスタート活動における、大人と子どもが楽しい時間をわかちあう、というねがいと重なります。

わかるから楽しいというより、楽しみながらわかっていく。
子育てのはじめの時期に、全ての子どもに対し、その繰り返しのプロセスを支え、きっかけをつくることを保障する点に、ブックスタート活動のもつ魅力があるのでしょう。

読み方が上手でなくてもいいのです。
「すべきこと」を放り投げて、ちょっと一服してみませんか?